平成7～18年度生まれの方はジカ熱よりも日本脳炎にご注意

予防接種は必須、ワールドトラベラーズ（ @KatsutoshiYuge ）です。

第31回夏季オリンピックが開催されているリオデジャネイロですが、ジカ熱が流行していて出場を辞退する選手が相次いだことで話題となりました。

他にも黄熱病、デング熱、狂犬病などの感染症もありますが、そういった危険性があるのは何もブラジルだけではありません。

日本と同じ東南アジアであるベトナムでは日本脳炎が流行しているのです。

リンクThanh Nien Daily

特に10～21歳の方、そして3～9歳頃に北海道で過ごした方は渡航の際に必ず予防接種を受けて下さい。

何故なら日本脳炎は恐ろしい感染症のひとつで、毎年多くの人が命を落としているからです。

今回はジカ熱と日本脳炎、そして感染症を媒介する蚊について勉強しましょう。

ジカ熱について

ジカ熱（ ジカウイルス ）はデング熱（ デングウイルス ）の近縁種で蚊を宿主とするウイルスです。

歴史

• 1954年 - ナイジェリアで人類初の発症例
• 2007年 - ミクロネシア連邦のヤップ島で最初の流行
• 2013年 - フランス領ポリネシアで流行
• 2015年 - アメリカ大陸で流行し世界的に広がる
• 2016年 - 世界保健機関により国際的な緊急事態と宣言される

2016年2月1日に世界保健機関が緊急事態宣言をしたことを受けて、日本では2016年2月5日に4類感染症として指定されました。

ジカ熱の症例が報告された地域

Photo credit : Wikipedia

2016年1月15日までの発生国は上記の通り。

バルバドス、ボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、エルサルバドル、フランス領ギアナ、グアドループ、グアテマラ、ガイアナ、ハイチ、ホンジュラス、マルティニーク、メキシコ、パナマ、パラグアイ、プエルトリコ、セント・マーティン島、スリナム、ベネズエラ。

プエルトリコでは8月12日に緊急事態宣言が発令され、12日現在で10,690人のジカ熱感染が確認されています。

リンク米保健省、プエルトリコにジカ熱で緊急事態宣言　感染者1万人超

兆候と症状

潜伏期間は不明であるが数日から1週間とみなされていて、60～80％が無症候性の為に感染に気付き難い病気。

現在有効なワクチンはなく、安静にしていることしか対処法がない。

ただ、デング熱に比べると症状は穏やかであり、4～7日ほどで終息します。

入院の必要はほとんどないし、2016年現在ジカ熱を直接的な原因とする死者は報告されている。

感染経路

• 蚊
• 母子垂直
• 性的接触
• 輸血や血液製剤による血液

蚊以外の感染経路は症例が少なく、ほとんどが蚊を媒介とした感染と見て良いと思います。

とにかく蚊にさえ気を付ければ、ある程度の予防が見込めるでしょう。

日本脳炎について

日本脳炎はウイルスによる脳の炎症性疾患です。

歴史

Photo credit : http://idsc.nih.go.jp/

日本では1967年（ 昭和42年 ）～ 1976年（ 昭和51年 ）の小児及び高齢者を含む成人への積極的なワクチン接種の結果、発症は劇的に減少して年間10名程度に抑えられています。

ワクチンを接種する事で日本脳炎の感染リスクは75～95％ほどに減らせられるとの報告があり、現在では各市町村が実施主体となって標準的なワクチン接種が可能です。

兆候と症状

潜伏期間は6～16日とされていて、高熱・頭痛・嘔吐で発病し、痙攣・意識障害・麻痺などの神経系の障害を引き起こします。

日本脳炎ウイルスに感染した場合、およそ1,000人に1人が日本脳炎を発症し、発症した際の致死率は20～40％にも上り、生存者の45～70％は脳に障害を受けて精神障害などの後遺症が残る。

感染経路

人から人に感染する事はなく、蚊を媒介して感染します。

従って、ジカ熱と同様に蚊に気を付けることでリスクを減らせます。

ただ、やはり予防接種をしておくに越したことはないでしょう。

予防接種

標準的な摂取スケジュール

上記が標準的な接種スケジュールとされていますが、3歳未満の子供が発症した例があることを受けて日本小児科学会は、感染リスクが高い地域では最初の接種を3歳から生後6か月に前倒しするよう呼びかけています。

リンク日本脳炎接種の前倒しを学会推奨　３歳→生後６カ月

積極的勧奨の差し控え対象者

日本脳炎の予防接種後に ADEM（ 急性散在性脳脊髄炎 ）を起こした事例があったことをきっかけに、2005年（ 平成17年 ）から2009年（ 平成21年 ）まで、日本脳炎の予防接種の案内が行われませんでした。

従って、2016年現在10～21歳の方は母子健康手帳の確認を強くお勧めします。

幼少期を北海道で過ごされた方

Photo credit : http://www.pref.hokkaido.lg.jp/

• 過去40年にわたって日本脳炎が発症していない
• 媒介するコガタアカイエカの生息区域外

上記のことから今まで日本脳炎の予防接種を実施していませんでした。

2016年4月より定期接種が始まりましたが、3～9歳頃に北海道で過ごした方は渡航の際に必ず予防接種を受けましょう。

詳しくは北海道のお知らせをご覧下さい。

リンク日本脳炎の予防接種を安心して受けていただくために（ pdf 形式 ）

海外でも接種可能

ワタクシは世界一周旅行へ行くときに予防接種を受けてから行きました。

• タイでの予防接種は日本で打つより本当に安いのか？結論！
• 世界一周旅行の準備で予防接種を受ける人は必見！これが良い失敗例

上記を参考にして頂ければわかりますが、数々の失敗を重ねた上にお金も時間も費やしています。

日本脳炎は各都道府県の検疫所やクリニックなどで受ける事が可能ですよ。

海外なら安く済ませられるので、最後の1回を現地で打つというのも選択肢のひとつ。

ただ、CD-JEVAX や JEBIK V など種類があって、日本で取り扱ってないものもあるので注意が必要です。

自分がどの予防接種を打ったのか把握しておく必要があるでしょう。

蚊について

伝染病の有力な媒介者

Photo credit : http://www0.nih.go.jp/

蚊によって媒介される病気による死者は年間75万人にもおよびます。
（ 2番目に多いのが人間で47万5000人 ）

特に死者の多い病気はマラリアで、2015年には2億1400万人がマラリアにかかり43万8000人が死亡しました。

従って、地球上でもっとも人類を殺害する生物であると言えるでしょう。

他にも媒介する病気は多数あり、日本脳炎もそのひとつとなっています。

• マラリア
• 黄熱病
• デング熱
• 脳炎
• ウエストナイル熱
• チクングニア熱

蚊が媒介する伝染病は特定の種類の蚊によって媒介されることが多く、日本脳炎は主にコガタアカイエカに刺されることで感染します。

但し、熱帯地域では他の蚊も媒介するので注意が必要です。

ちなみにマラリアはハマダラカ、黄熱病やデング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカ、ウエストナイル熱はイエカ、ヤブカ、ハマダラカによって媒介されます。

刺されやすい人の特徴と対策

• 男性
• 体温が高い
• 呼吸回数が多い
• 新陳代謝が激しい
• 汗かき

蚊に刺されやすい人の特徴はこのようになっています。

また、黒色の服は熱を吸収しやすいため黒い服を着ていると刺されやすくなり、逆に白色の服は熱を吸収しにくいので刺されにくくなります。

蚊は周囲よりも、二酸化炭素の密度の高いところ、温度が高いところ、湿度の高いところへ向かう習性があるので、これらを踏まえた対策が必要と言えましょう。

まとめ

夏は蚊に刺されやすいですが、日本国内で日本脳炎に感染する確率は極めて低いと言えます。

しかし、東南アジア、特にベトナムへ渡航する際には細心の注意が必要です。

ご旅行の際にはお気をつけていってらっしゃいませ。

虫刺され対策にはこちらがオススメです。

生産国であるイギリスでは2015年に優秀品としてエリザベス女王から直々に賞を授与され、2016年5月からイギリス政府 NHS（ 国民健康サービス部門 ）が使用を推奨開始した実力商品です。