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ハワイ路線に LCC 参入でパイを奪われるのはハワイアン航空か?

2017/05/07

ハワイ路線に LCC 参入でパイを奪われるのはハワイアン航空か?

ホノルルマラソンに出場したい、ワールドトラベラーズ( @KatsutoshiYuge )です。

長年に渡り JAL がスポンサーであることから、正式名称は「JAL ホノルルマラソン」っていうのはご存じでしたか?

参加者のほぼ半数が日本人(2015年は30,783人中12,532人)というマラソン大会ですが、近年伸び悩んでいる参加人数も LCC がハワイ路線へ参入することで増えていくでしょう。

そこで定期便を就航している今の航空会社が、それぞれどのくらいのシェアを獲得していて今後どうなっていくのか?

そしてどのような LCC が新たに就航していくのか調べてみました。

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就航している航空会社

  • JAL(日本航空)
  • ANA(全日本空輸)
  • ハワイアン航空
  • デルタ航空
  • ユナイテッド航空
  • 大韓航空
  • チャイナエアライン

日本 ⇒ ハワイ路線を就航しているのは上記の7社。

便数は成田からが最も多く、次いで羽田、関西、中部となっています。

それでは各社の供給座席数のシェアはどのようになっているのか見てみましょう。

各社の供給座席数のシェア

各社の供給座席数のシェア

参考全7社のハワイ行き飛行機まとめ 時刻表と各社機材のおすすめ座席

JAL 国際線研究会によりますと各社の供給座席数のシェアは上記の通りです。

次にシェア数トップ4の航空会社の状況や今後の戦略を、JAL、ANA、ハワイアン航空、デルタ航空の順に見ていきましょう。

JAL

JAL

Photo credit : Wikipedia

JAL は1954年(昭和29年)、初の国際線として羽田からホノルル経由サンフランシスコ行きを就航し、それからハワイ路線のシェアトップには JAL が君臨することになりました。

年間200万人以上の日本人がハワイを訪れた1990年代後半には、席数を増やしたことにより過度の価格競争を引き起こした過去があります。

そして2010年の経営破たん以降は供給を抑え、座席の単価を上げる戦略を取って席数は減少傾向にあり、今後は価格競争に挑まないという方針を打ち出しました。

LCC 参入を見越して座席の幅や間隔を広くした新型の機体を順次導入するなど、高級化戦略になりそうです。

ANA

ANA

Photo credit : Wikipedia

逆に ANA は席数を増やす戦略を打ち出していて、2019年には2階建ての超大型旅客機である「A380」を3機導入。

席数は少なくとも500席以上になる見込みで、現在の供給量よりも2倍以上に増える計算となります。

そうなれば価格競争に陥ることも予想され、LCC との対立も余儀なくされるでしょう。

しかし同時に富裕層を意識したファーストクラスの導入、フルフラットシートやプレミアムエコノミークラスの導入などで、JAL と同様に単価を上げる戦略もあります。

ハワイアン航空

ハワイアン航空

Photo credit : Wikipedia

2010年に国際線の乗り入れが可能となった羽田空港からホノルル線を就航し、JAL の牙城を崩しにかかったのがアメリカのハワイ州を拠点とする航空会社であるハワイアン航空です。

以降は関西国際空港や新千歳空港にも乗り入れ、2016年7月には成田―ホノルル線を就航。

更に羽田空港でアメリカ行きの発着枠が拡大することを受けて、12月にはホノルル線を週7便から11便に増やし、20日にはハワイ島のコナ国際空港への路線も週3便が新設されます。

2017年にはフルフラットシートの導入も。

デルタ航空

デルタ航空

Photo credit : Wikipedia

デルタ航空はアメリカ合衆国ジョージア州アトランタ市に本拠を構え、2008年にノースウェスト航空と合併して世界で第3位の旅客運送数を誇る航空会社。

日本には1987年3月に乗入れを開始し、2013年現在では外国航空会社として成田空港で最多の運航便数を誇り、その便数は JAL、ANA に次いで3番目となっています。

だからこそシェア数で JAL としのぎを削っているのも納得できますが、その力関係が大きく変わりそうなのがデルタ航空なのです。

日米航空交渉の合意

アメリカ路線の発着枠が変更

日米両政府は2016年の秋以降、羽田空港からアメリカに向かう国際線をこれまでの1日8便から12便に増やすことで合意し、深夜から早朝の時間帯に飛んでいた8便を2便に減らして昼間の時間帯へ新たに10便を振り分けることになりました。

12便の内訳は ANA が4便、JAL が2便、そしてアメリカ系航空会社が6便となるのですが、このうちデルタ航空が1便も獲得することが出来ない可能性もなくはありません。

何故なら新たに振り分けられた羽田空港の発着便獲得のために、アメリカ系航空会社はアメリカ運輸省に申請しなければならないからです。

  • アメリカン航空(ロサンゼルス線、ダラス・フォートワース線)
  • ユナイテッド航空(サンフランシスコ線、ニューヨーク線)
  • デルタ航空(ロサンゼルス線、ミネアポリス線、アトランタ線)
  • ハワイアン航空(ホノルル線、コナ線)

上記の通り計4社が9路線を申請したのですがデルタ航空は羽田空港に提携会社を持たないため、コードシェアや日本の国内線との接続など利便性を高めることが難しく、枠が増えても有効活用することが出来ないのです。

他3社に関しては ANA が加盟する「スターアライアンス」にユナイテッド航空とハワイアン航空、JAL が加盟する「ワンワールド」にはアメリカン航空が加盟し、「スカイチーム」を主宰するデルタ空港は圧倒的な不利になることからこのような声明を発表しています。

「デルタ航空は、本日日米両政府が、羽田空港の昼間の発着枠の部分的な開放に合意したことを非常に残念に思います。羽田空港では引き続き競争が制限され、厳しく規制された空港となると思われます。

 当社の事業が影響を受けることは避けられないと見ていますが、成田のハブ機能および現在のアジア路線をできるだけ長く存続できるよう最善を尽くす所存です。これから綿密な分析を行ない、その結果に基づき路線の調整を行なう予定です。」

成田空港からの撤退をほのめかす声明文ですが、できるだけ長く存続できるよう最善を尽くすというのがポイントになります。

オープンスカイとバイ・セルの要求

オープンスカイとバイ・セルの要求

実は日米航空交渉の議論でアメリカは日本に対して、羽田空港で航空会社が自由に路線や便を決めることができるように「オープンスカイ(羽田空港の自由化)」と、航空会社同士が発着枠を売り買いできる「バイ(Buy)・セル(Sell)取引」を認めるように要求し、この点について継続議論することで日米が一致しました。

欧州勢やアジア勢の中には対して羽田路線に熱心ではない航空会社もあり、世界の航空会社で最高水準の収益力を持つデルタ航空は、潤沢な資金力を活かして大量に枠を獲得することができる。

しかし「オープンスカイ」は権限縮小にも繋がりますし、「バイ・セル」は羽田の発着枠が航空会社の資産になりうることから国土交通省は難色を示しています。

デルタ航空が次にどのような一手を打って出るのかわかりませんが、結果次第では成田を撤退して日本 ⇒ ハワイ路線のパイを手放す可能性もなくはありません。

リンク米デルタ航空、成田発着3路線から撤退!アジア戦略で成田空港の地位低下か

デルタ航空の悲願は成就せず

デルタ航空は2010年に経営破たんした JAL と提携し、アメリカン航空やブリティッシュ航空が主宰する航空連合のワンワールドから JAL を引き抜き、デルタ航空が主宰するスカイチームに移籍させようと試みますが、JAL 再建の陣頭指揮者に拒否されて失敗。

更に JAL、ANA に次ぐ第3極の航空会社であるスカイマークが、民事再生法の申請をした時に支援航空会社として名乗りを挙げ、日本市場での勢力拡大のためにスカイチームに移籍させようと目論みますが、スカイマークの債権者集会ではデルタ航空を支援航空会社とした再生計画案が否決されました。

このようにデルタ航空の悲願は成就しなかった過去があり、オープンスカイとバイ・セルの要求が通る見込みは少ないのではないでしょうか。

これを見越してのことなのかどうかは何とも言えませんが…

ハワイ路線に LCC 参入

ハワイ路線に LCC 参入

各社 LCC の参入準備

複数の LCC がホノルル線への参入を検討していて、すでにエアアジア X は関空―ホノルル線をアメリカ運輸省に申請済み。

そしてエアアジア・ジャパンが中部―ホノルル線の就航を検討していて、顧客満足度ランキングで1位に輝いたバニラ・エアもホノルル線への参入を示唆しています。

リンク格安航空会社のバニラエアが国際線において顧客満足度ランキング1位を獲得

ANA 傘下のバニラ・エアは就航先の開拓に積極的で、2016年9月には沖縄ー台北と東京―ベトナムを新規就航させます。

リンクついにベトナムまで片道約1万円の時代が到来

熾烈をきわめる価格競争

LCC が就航すれば価格競争が起こるのは必至で、定期便を就航させている会社は少なからず打撃を受けるでしょう。

価格で有利なのは LCC に違いありませんが、今後の勢力図はどのように変化していくのでしょうか?

勢力図の変化

ハワイの観光客数

ハワイの観光客数

参考日中韓、国別ハワイの観光客数2014年版からわかる日本の景気

ハワイ州観光局(HTA)によりますと年間で約150万人が日本から訪れています。

LCC が参入することによって新規顧客が増えることは間違いないでしょう。

リピーターはどの航空会社を選ぶのか?

日本人観光客の6割はリピーターと言われていて、何回も訪れるような人は別荘を持っていたり毎年の恒例行事としていたり、比較的お金に余裕のある中流家庭から富裕層にかけてではないかと推測できます。

そのような人たちは価格ではなくて体験やサービスなどにお金を使うでしょうから、高級化戦略の JAL を選択するというよりは元々 JAL を利用している層であると考えられます。

LCC の就航に伴って新たな客層を受け入れられないリピーターは、高級化戦略を打ち出している JAL や ANA へと傾いていくのではないでしょうか。

新規顧客はどの航空会社を選ぶのか?

初めて海外旅行へ行かれる方や LCC を利用して近場のアジアを楽しむ海外旅行に慣れた方など、ハワイに安く行けるということで多くの人が LCC を選ぶのではないかと予想されます。

ANA が投入する2階建ての超大型旅客機により価格競争も激化して【LCC vs ANA】という構図が浮かび上がります。

価格も高級感も中途半端なハワイアン航空は、ハワイに特化しただけの戦略では苦戦を強いられるでしょう。

もしもデルタ航空が撤退するようなことがあれば、JAL、ANA、LCC の三つ巴戦になるのではないでしょうか?

まとめ

ワタクシとしましては安けりゃ何でも良いタイプなので、ただ移動するのにお金をかけたいとは全く思いません。

狭い座席でも熟睡することはできるし、荷物はコンパクトにまとめて多くもないし、だからこそ LCC には頑張ってほしいと思っています。

3年後に繰り広げられるハワイ路線の熾烈な戦いで、どう勢力図が変化していくのか楽しみですね。

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